昨年、就任先の理系大学で建築系の学生が航空関連の企業を見つけて興味を持ったということがありました。
当初、本人は建築系ゆえにゼネコンや住宅メーカーなどに進むものだと思って、就職ナビの「業界検索」を中心に行いながらそれらの業界の企業を探していました。
そんななか、たまたまその就職ナビの「職種検索」の方から建築技術者を募集している企業という視点で探したところ、空港の運営会社を見つけ、そこで初めて建築分野の技術職募集を知ったのです。
その募集は旅客ターミナルビルや貨物上屋・ビルに代表される既存施設のリノベーション計画や維持管理、新たなニーズに対応する為の新施設の計画などを行う仕事というものでした。
本人はこれだ!とときめき、ぜひ応募したいと思ったのですが、その時点で既にその職種のエントリーは締め切られていました。
本人は「もっと早く知っておけば良かった」と
私も大学で仕事をするなかで毎年気になるのは、学生の皆さん同士の会話で常に「志望業界はどこ?」と、業界に限定した話が進んでいるということです。
文系だけでなく技術を学んでいる理系でさえ「志望職種は何?」という言葉があまり出てこないのです。
前述の学生も、もっと早くから知っておけば良かったと言ったのには、もっと早くから職種で検索していけば良かったという意味もあります。
今回は一例として職種という観点から「知ることの大切さ」に触れていますが、業界や企業そのものについても、知る前からいま知っている知識の範囲で考えて絞ってしまうということが起きています。
その結果、毎年多くの学生が志望する業界や企業がかなり似通ってしまい、そこに応募が集中することでとんでもない競争率になるということも起きています。
もちろん、いま知っている知識の範囲で考えた業界や企業が、本当に自分が目指したい先だといえるのであれば何も問題ないと思います。
しかし、もしも現時点で知らないというだけで自分の本当にやりたいことができる仕事や企業、業界を見逃したり、初めて芽生える興味の機会を失ったりするとしたらもったいないですよね。
新卒の就職活動は本当に全業界が一斉に募集を行う、中途採用にはない大きな可能性が広がる世界です。
また、企業だけでなく公務員についても新卒はあらゆる機関が一斉に募集を行います。
ぜひそのチャンスを最大限に活かしていってはどうかと思います。
よく3年生の夏や秋くらいに「まだ業界が絞れないんですけど」という相談を受けますが、私はいつも「いいじゃん!それだけ可能性が広がるということだと思うよ」と答えています。